エムガルティ®・アジョビ®・アイモビーグ®
片頭痛予防薬でCGRPを標的とした新薬です。
CGRP(カルシトニン遺伝子関連ペプチド)は片頭痛発作に関与する神経ペプチドです。
光や音、匂いなどの何らかの外部刺激により、脳を覆う硬膜にある知覚神経の三叉神経終末から放出され、脳内血管などに作用し急激に拡張し片頭痛発作の疼痛に密接に関与しています。
2021年に我が国でも抗CGRP抗体と抗CGRP受容体抗体が発売されました。
*抗CGRP抗体(エムガルディ®(ガルカネズマブ)and アジョビ®(フレマネズマブ))
*抗CGRP受容体抗体(アイモビーグ®(エレヌマブ)
通常、片頭痛の予防としては、初めに内服薬を開始します。
1種類で効果が乏しい場合は、漢方薬などを含めた数種類の薬を併用します。
しかし、内服薬を組み合わせても、片頭痛が抑えられない方、薬の副作用で予防薬を内服できない方に片頭痛新薬である注射薬が効果を発揮し発作回数が約1/3以下に減らす効果が期待できます。
多い副作用は注射を打ったところに、次のような症状があらわれる場合があります。
注入時の痛み
痛み
注射部位が硬くなる
硬くなる
痛注射部位の発赤
赤くなる
問題は…新薬であり高額な費用がネックとなってしまいます。
厚生労働省が定めた価格であり、医療機関での差はなく、全国一律となります。
*3割負担の方(1割負担の方ですと、これらの1/3の費用となります)
- エムガルティ® … 1本あたり約13,550円(初回は2本投与、30日間隔で継続投与)
- アジョビ® … 1本あたり約12,400円(初回は1本投与、28日間隔で継続投与)、又は(1回3本投与、84日(12週間)で再投与)
- アイモビーグ® … 1本あたり約12,400円(初回は1本投与、28日間隔で継続投与)
*当院ではエムガルディ®とアジョビ®を推奨しております。
*投与間隔の違いから3製剤を1年間使用した時の値段は同じであり、2年目以降も継続する場合はエムガルディ®が最も安くなります。
また、エムガルディ®の自己注射デバイスは自己注射を見据えた際に、患者さんが注射し易く、ミスしにくい設計で2023年度のグッドデザイン賞に選出されています。
印象とすれば効果発現が速く、長く効く印象ですが注射時の痛みが少し強いです。
*アジョビ®は初回が1本投与で初期費用が抑えられ導入に最適です。
また、1回3本投与で12週間毎の投与方法がある事も特徴です。
印象とすれば初回導入価格が抑えられ、導入に最適ですが少し速効性では劣ります。
片頭痛でお困りの方、発作回数が多く、従来の予防薬で効果が乏しい方には特にお勧めです。
薬剤が高価であり躊躇しますが、頭痛発作からの解放、仕事が出来ない・効率が悪くなる事による経済面の負担、非発作時の日常生活での不安からの解放などを考えると決して高い薬ではありません。
厚生労働省の使用推進ガイドライン
- 医師に片頭痛と診断されていること
- 片頭痛が過去3ヶ月の間で、平均して1ヶ月4日以上ある
- 従来の片頭痛予防薬の効果が不十分、または内服の継続が困難な場合
- 妊娠中・授乳中は、十分検討した上での慎重投与が可
- 18歳未満は使用不可
*付加給付制度が適応される方もいます。
企業などの健康組合や共済組合で1月間の医療費の自己負担限度額が決められており、限度額を超過した費用を払い戻す制度のことを言います。
高額療養費上限よりも低い金額を自己負担上限額に設定している場合、一定額を超えた分が付加金として給付されます。
自己負担限度額は健康保険組合により異なりますので、ご加入されている保険事業所にお問い合わせください。
保険番号の上2桁が、「06」または「31,32,33,34」「72,73,74,75」の場合は該当する可能性があります。
尚、国民健康保険には付加給付制度はございません。
*また、生計を一つにする家族の医療費総額が年間で10万円を超えた場合に確定申告手続きを行う事で税金の一部が控除(減額)される医療費控除もありますので領収書を大切に保管してください。