もの忘れ・認知症のことなら|溝の口脳神経外科クリニック|川崎市高津区

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認知症・正常圧水頭症

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認知症とは

頭を抑える男性の写真

認知症とは意識障害のない状態で、一度確立された知的機能が何らかの原因で障害され、
記憶障害(物忘れ)や判断・思考力・一般情報処理能力の障害、情動・意欲・社会行動の障害が6か月以上持続すると定義されています。

認知症には記憶障害(物忘れ)が必須と考えられていましたが、前頭側頭型認知症や初期レビー小体型認知症のように記憶障害(物忘れ)を認めないことも多く、必須ではありません。
言語障害・知覚運動障害・社会的認知障害のうち1つ以上が障害され日常生活に支障が生じている状態にて診断されます。

認知症予備軍である軽度認知症(MCI = mild congnitive impairment)は上記障害のうち1つ以上が軽度障害されてはいるが日常生活に支障を認めない状態を言います。

認知症には単なる加齢による良性健忘と、軽度認知障害(MCI)、および認知症の初期段階の場合とがあります。
認知症にもアルツハイマー型認知症、脳血管性認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあり、各種状況に応じた対応方法や進行予防薬があります。
また、正常圧水頭症や慢性硬膜下血腫などによる認知症は外科治療(手術)にて治療することが可能です。
したがって認知症のタイプを採血や画像検査にて明確に診断することが非常に重要です。
「物忘れ」が心配な時は、まずは受診をお勧めいたします。

認知症チェックリスト10

  • 人の名前をいつまでも思い出せない&思い出そうとしない。
  • 同じ話を何度もする。
  • 整理整頓が出来ずに部屋が汚れる。
  • 日にち感覚が無くなり、日付がわからない。
  • 仕事や予定のダブルブッキングなどミスを繰り返す。
  • 臭いに鈍感になり腐ったものを置いたままにし、不潔なものを触る。
  • 料理の味付けが濃くなったり薄くなったりする。
  • 幻覚妄想、暴力暴言が増える。
  • 他人には問題ないのに身内に対して自分勝手になる。
  • 徘徊を繰り返す常同行動を認める。

上記にチェックがつく場合は認知症を疑って受診を推奨

VSRAD
(voxel-based specific regional analysis system for Alzheimer’s Disease)

アルツハイマー型認知症(AD)では内側側頭部(海馬傍回、海馬、扁桃)の選択的灰白質容積減少を捉え早期診断が可能です。
しかし視覚的容積減少を捉えるのは早期では非常に困難です。
VSRADはコンピュータを用いた統計画像処理を行い正常データベースと比較した側頭部容積と良好な相関を示す内側側頭部のZ scoreを算出します。

VSRADを使用するにあたっての注意点

  1. VSRADの結果のみでアルツハイマー型認知症(AD)の診断はできない。
    神経心理学的検査などとともに総合的に判断する必要がある。
  2. 内側側頭部萎縮を来たす疾患には前頭側頭型認知症、血管性認知症、嗜銀顆粒性認知症、種々の精神神経疾患などがある。
    そのため診断にはZスコアのみではなく、全脳の萎縮パターンを評価することが重要。
  3. VSRADには54〜86歳の健常者のMRIデータベースが搭載されている。
    若い人(50歳未満)では偽陽性になり易く、50歳以上、特に54歳以上が適応となる。
  4. 65歳未満の早期発症のアルツハイマー型認知症(AD)では内側側頭部よりも頭頂側頭葉皮質の萎縮が顕著な傾向にあり偽陰性になり易い。
  5. VSRADの値は、再現性を考慮して判断する。
    Zスコアは0.01+0.08 : 3.6~4.4%(変動値:変動率)の誤差がある。

Z scoreの目安

  • 1-2 : ADと健常人が混ざっている。
  • >2:ADといっていいかも。
    ※ADでも1以下の患者も多く、あくまで1つの目安。
    ※leukoaraiosis(大脳白質病変=慢性虚血性変化)著明だと評価困難になり易い。

背側脳幹/内側側頭部の萎縮比(VOI間萎縮比)レポート

アルツハイマー型認知症(AD)とレビー小体型認知症(DLB)の鑑別診断を支援する参考指標となる。

  • DLBでは背側脳幹の灰白質および白質の萎縮がより目立つことが知られている。
  • ADでは内側側頭部の萎縮が目立つことが知られている。
    背側脳幹の萎縮が内側側頭部の萎縮よりも目立つ症例をDLBの可能性とする。

具体的にはZ score 2以下である認知症患者に対してADとDLBの鑑別を考慮するか否かを検討する際に用いる。

《灰白質》VOI間萎縮比=《灰白質》背側脳幹VOI内萎縮度/《灰白質》内側側頭部VOI内萎縮度
《白質》VOI間萎縮比=《灰白質》背側脳幹VOI内萎縮度/《灰白質》内側側頭部VOI内萎縮度

の値が共に0.2以上の場合にDLBの可能性があると判断する。
正診率は7割程度。

内側側頭部のレポート・VOI間萎縮比のレポート

認知症の治療

非薬物療法

  • 新聞を取ることや掃除や洗濯を任せ、日常の役割を与える。
  • 急な環境変化は症状悪化を招きやすいので同じ環境を保ちストレスを失くす。
  • 適度な有酸素運動で脳の機能改善を図る『運動療法』
  • 過去のことを回想して認知機能を高める『回想法』
  • 音楽鑑賞や演奏『音楽療法』、花や野菜を育てる『園芸療法』
  • 理学療法や作業療法などのリハビリテーション。

食事療法

  • レシチンを多く含む大豆、ピーナッツ、卵黄は記憶力回復効果が期待されている。
  • ビタミンC、ビタミンE、βカロチンなどの抗酸化物摂取が推奨されている。
  • カロリー過剰摂取は控える。
  • 野菜は1日350g(うち緑黄色野菜120g)摂取が推奨されるが野菜ジュースでも有効。
  • アルコール多飲やビタミンB1欠乏に注意。
  • 魚油(ω3脂肪酸)がアルツハイマー型認知症予防効果、動物性油は促進作用がある。
  • 低HDLコレステロールは血管性認知症の危険因子である。
  • 中年期のメタボリックシンドロームは認知症リスクを6倍にする。

薬物療法

  • アクセル系治療薬(陰性症状中心時)
  • ブレーキ系治療薬(陽性症状中心時)
  • 漢方薬

高齢者が運転免許更新時に受ける検査(認知機能検査)について

認知機能検査について

運転免許証の更新期間が満了する日の年齢が75歳以上のドライバーは、認知機能検査等を受けなければならないとされています。

認知機能検査等は、運転免許証の更新期間が満了する日の6か月前から受けることができます。

認知機能検査の対象となる方には、運転免許証の更新期間が満了する日の6か月前までに認知機能検査等の通知が警察から届きます。

 

認知機能検査とは

認知機能検査は、記憶力や判断力を測定する検査で、手がかり再生及び時間の見当識という2つの検査項目について、検査用紙に受検者が記入し、又は検査に必要なソフトウェアが搭載されたタブレットに受検者がタッチペンで入力して行います。

具体的には、次の2つの検査項目を受けます。

手がかり再生

記憶力を検査するもので、一定のイラストを記憶し、採点には関係しない課題を行った後、記憶しているイラストをヒントなしに回答し、さらにヒントを基に回答します。 

時間の見当識

時間の感覚を検査するもので、検査時における年月日、曜日及び時間を回答します。

 

検査終了後、採点が行われ、その点数に応じて、「認知症のおそれがある方」又は「認知症のおそれがない方」のいずれかの判定が行われます。
検査結果は、書面(はがき等も含む。)で通知されます。
 また、検査の結果、「認知症のおそれがある」と判定された場合には、公安委員会(警察)から連絡があり、臨時適性検査又は診断書提出命令により医師の診断を受けることになります。認知症であると診断された場合は、聴聞等の手続を経た上で免許の取消し又は効力の停止を受けることとなります。

 現在、75歳以上の方の運転免許更新時には認知機能検査が行われています。100点満点中49点以下の場合は、医師が「認知症ではない」と診断すれば、運転免許の更新ができる制度になっています。